みかんの気持ち
知らない人とも袖擦り合わせ

こんにちは

なんて笑う暇もないままに

あたしは冷たい部屋から移された


暗くて何にも見えないけれど

外はますます息苦しい

都会の喧騒に巻き込まれ

あたしの身体は

ふらふらと

宙を舞って おぼつかない


ドサリと耳元で音がして

誰かの悲鳴が飛び込んできた

ああ

これがウワサに聞いてた恐怖のあの日


怯えるもの

嘆くもの

あたしもぐっと身構えて

ベリッという合図で

覚悟を決めた
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