みかんの気持ち
眩しい光が射す中で

誰かがキャアと悲鳴を上げた

見上げると

天を埋め尽くす無数の五指


それはそれはたくさんの手が

我先にと延びてきて

仲間達を乱暴に掴んではさらってく


みかん詰め放題 200円


その張り紙をキッと睨んで

部屋もとい箱の中を転がり続けた


あちこちで

みかんのすすり泣く声がする

透明の袋に同士がギュウギュウ

あたしもつられて悲鳴を上げた


あたし達は

とてもとてもデリケート

太陽のように

優しく包んでくれなきゃ

壊れちゃうんだってば!
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