みかんの気持ち
あたしは転がった

泣いて叫んで

ごろんごろん

箱の中で選別されて

小粒のあたしは

ごろんごろん


ああ

目が回って意識もグラグラ

覚悟を決めたはずなのに

こんなに哀しいのは

なんでかな・・


そんなときだった

一回り細い白い指が

眩暈を止めるように

優しく優しく

拾い上げてくれたのは


ぎゅうぎゅうに

他のみんなは詰められて

だけど あたし達は

ふわりと抱かれた

特売みかん200円


彼女はあたしたちをみて

にっこり笑った

一緒にお家に帰ろうねって
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