上司なダーリン
次の日、たくちんは出勤してきた。松葉杖を付きながら…
その姿は痛々しかった。話掛けようとたくちんのデスクに向かおうとしたら坂本さんがするりと横を通り過ぎていった。一直線にたくちんのもとに…
「松木課長、大丈夫ですか?無理して出て来なくてもゆっくり休んでいれば良かったのに!」
あっ、それ私のセリフ。先越されたぁ〜!2人はしばらく喋っていたが始業ベルが鳴ると坂本さんは自分の席へと戻って行った。私は1人ぶりぶり怒っていた。半分以上は八つ当たりだけど…。その夜たくちんから電話がかかってきた。
「今日ほとんど話してないね、何か合ったの?」
「どうして痛風の事教えてくれなかったの!?しかも坂本さんとデレデレと」
別にデレデレしてはいなかったけど何だか悔しくてまくし立てた。たくちんは黙って聞いていた。そして口を開いた。
「なぁ瀬菜…何そんなにぶりぶり左右衛門になっているの?」
「ぶ、ぶりぶり左右衛門!?何よそれ」
「俺は1日でも早く瀬菜に逢いたくて出勤したのにマズかった?大体、坂本とデレデレしてた?」
「してないかもしれないけどそう見えたの!」
「それってヤキモチ?だったら嬉しいなぁ」
言われて気付いた。これがヤキモチってやつ?
1人熱くなっていた自分が恥ずかしかった。
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