lotlotlot2-ふたつの道-
闇はより一層深くなる
まだ暗闇の中での会話は続いていた。
「魔法使いは知っているな?」
頭の中に声が響く。
「あぁ、知っているさ。こんな小さな村だ。なかなかお目にかかれるものじゃないがな。」
「じゃ、魔法使いの始祖は知っているか?」
「聞いた事はある。歴史の教科書には、必ずそいつの事が書かれているからな。レイフルだっけか?でかい街を造ったんだよな?知っているのは、それくらいだ。」
「もう一つ聞く。言術使いは知っているか?」
「知ってるも何もこの村に住んでたよ。しかし、なんだって言うんだ。さっきから質問ばかり。血の話はどうなったんだ?」
男は遅々として進まない話に、苛立ちを募らせた。
「そうだったな。さっき話した血とは、魔法使いの血の事だ。それも始祖の血だ。だから、直系と言ったんだ。」
「へっ?俺が魔法使いだって?俺がもし魔法使いなら、こんな小さな村に閉じこもってねえよ。なぁんも取り柄がないから、親から継いだ畑耕すしかねえんだよ。」
「いや、お前は魔法使いなんだ。それもとびきりのな。ただ、お前の力は封じられてしまっている。言術使いにな。」
その言葉に男の声が変わった。
「ほ、本当なのか?」
男には息子がいた。名前をリーグと言う。全くの濡れ衣を着せられ、今ここに捕らえられている。もし魔法が使えたら、ここから抜け出し、息子に会いに行ける。
今の男の願いは、それだけだった。だからこそ、強く反応した。
「あぁ、だが、お前はこのままでは、魔法を使うことはおろか、自分が魔法使いだと言うことすら忘れている始末だ。」
「そうか。」
男は落胆した。
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