lotlotlot2-ふたつの道-
母親のいないリーグは、隣に住んでいるズズカと言うやはり農業を営む一家に、面倒を見て貰う事があった。
そのせいもあって、リーグの父親も、よくズズカの家に遊びに行っていた。きっと、今もそうなのだろう。
リーグは家を出た。

隣に住んでいると言っても、リーグの家とズズカの家の間は、大きな畑で隔てられている。だから、最低でも十分は歩かないといけない。
「さっき、走って帰ってきたばかりだって言うのに・・・。」
誰にと言うわけでなく、不満を言ってみた。聞いてくれるのは、木にとまっている小鳥たちくらいだった。

柵の向こうに、ズズカ夫人の姿が見えた。
「おばさん。」
声をかけると、夫人は慌ててリーグの元にやってきた。
「リーグちゃん・・・なの?」
「どうしたの、おばさん?」
血相を変えている夫人の顔を見ると、ただ事ではないと直感的に悟った。
「とにかく、こんなところに突っ立ってないで、家にお入り。」
人目を気にするように、持っていたショールでリーグを隠しながら、家の中に連れて行った。リーグはわけの分からないまま、それに従うしかなかった。
「いったい、どうしたの?」
リーグは言った。
「生きていたんだね・・・。でも、生きていたなら、なおさら帰ってくるんじゃなかった。今ここにいたって、あんたにはつらい事だらけのはずだからね。」
「つらい事だらけって?」
そこでリーグは、自分が死んでいる事になっていると知った。
しかし、それよりも驚くべき事があった。それを夫人は告げた。
「あんたの親父さんが・・・あんな事をしたから・・・。あんなにあんたと仲の良かったエリシアを・・・。」
「エリシアを?」
リーグには、まるで話が見えてこなかった。
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