lotlotlot2-ふたつの道-
僕もリーグも言葉を失った。
「な、なんだよ。これ・・・。」
「・・・。」
そこには氷漬けにされた男が二人いた。片方はしゃがみ、片方は立ったままだ。
「ズズカさん・・・。」
リーグは言った。
「ズズカさんって、リーグの家の隣に住んでいる?」
「あぁ、そこの旦那さんだよ。まさか・・・こんな・・・。」
僕は夫人には何度も会っているが、旦那さんには一度も会ったことがない。だから、それがズズカさんとは思いもしなかった。
「いったい、何があったんだろう・・・?」
蛍灯の明かりを頼りに、僕は周りを探った。すると、見慣れたものを見つけた。帽子だ。
「リーグ、ちょっといい?」
「ん?」
リーグも側に来た。そして、声をあげた。
「これって親父の・・・。」
「そうだよね?おじさんが、いつも被っていた帽子だよね?」
「間違いないな。あの鳥の刺繍、親父がズズカさんにやってもらったものだからな。」
「と言うことは、おじさんはやっぱりここにいたって事だよね?」
「イバーエ、急ごう。」
僕も同じ事を考えた。ここにズズカさん達が氷漬けにされ、リーグのお父さんの帽子がある。おじさんが危ない。そう考えた。
「lot。」
たぶん、この二人は見張りだろう。その二人がこんな状況なら、目立つも目立たないもない。僕の目から手を生やした。そして、蛍灯を掴む。
とにかく奥へ、僕たちは進んだ。
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