lotlotlot2-ふたつの道-
そびえる家
月がはっきりと見える。
結局、夕食の時間を過ぎても、僕たちは村に着くことが出来なかった。村までの距離を考えても、今日はここら辺で野宿しかない。
「ねぇ、リーグ。今日は村に着くの・・・無理だよね?」
「そうだな。どう考えても、無理っぽいな。でもさ・・・。」
「?」
「ここまで来たら言術でなんとか出来たりしないか?」
「さっきも言ったでしょ。逆戻りしたいなら、構わないよ。力のコントロールがうまく出来ないんだって。」
「本当に?」
「本当だって。今、証拠を見せてあげるよ。今日、泊まる寝床でも出してみようか?」
結果がわかっていた僕は、少し開けた場所を選んで言術を唱えた。
「lot。」
野宿と言ったら、どんなに贅沢してもテントくらいが、いいところだろう。
「おいおい・・・。なんだ、これ?」
リーグは開いた口が塞がらない。
目の前には、大きな、とても大きな屋敷が建っていた。
「いくら何でも、これはでかすぎないか?」
「そんなこと言われてもなぁ。これでも目一杯小さくしたつもりなんだよ。前に、じいちゃんも言ってたんだけど、僕の言術は・・・力が強すぎるみたいなんだ。で、これをコントロール出来るまでは、使っちゃダメって言われてたわけ。」
「そ、そうか・・・。」
リーグは何度も、僕の言術を見てきた。その度に、ものすごいものを放出してきた理由を、今やっとわかってくれたようだった。
「確かに、こんな力じゃ逆戻りどころか、この世界を永遠に巡らなきゃいけなくなるかもな。」
「そういう事。だから、なるべく言術は使いたくないんだ。ま、今使っちゃったけどね。」
「て言うか、使わしちゃったって感じか。なんか、悪かったな。」
「いいよ。それよりさ、せっかく出したんだし、ここに泊まろうよ。」
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