lotlotlot2-ふたつの道-
村にある唯一の駅だと言っても、降りてすぐ村、と言うわけではない。
普通の村人は、列車に乗ることはまずない。列車はどちらかと言うと、うるさいし、振動はすごいしって感じで、やっかいものになっていた。
そんなやっかいものを、村の中心に通すわけもなく、今あるこの場所に駅が設置されたと言うわけだ。
「こっから村は見えるのになぁ。こっから歩くと遠いんだよなぁ。」
リーグは愚痴った。
小高い丘の上にある駅からは、煙突から出ている煙がいくつも見える。そろそろ夕食の支度をはじめる時間だ。その煙だろう。
今から村まで歩くと、夕食の時間に間に合うかどうか、それくらい時間がかかる。まして、大きなリュックを背負っているのだから、夕食の時間は終わっているかもしれない。
僕もため息をついた。
「そうだね。せめて、都会の駅みたいに、乗り合い馬車とかだけでもあればいいのにね。」
ついこの間までいたレイフルと言う街は、本当に大きな街だった。そこの駅には、乗り合い馬車と言う駅から別の場所に連れて行ってくれる便利なものがあった。
僕はそれを思い出していた。
「そっか。そうだよな・・・。」
「どうかした、リーグ?」
「お前がさ、今、言っただろ。乗り合い馬車って。ああ言うのって、言術で出せたりするんだろ?」
リーグの目は期待に満ちていた。しかし、その目はすぐに曇ることになる。
「出せることは出せるけどさ。まだまだ力が安定してないからね。レイフルの街に逆戻りなんて事になるかも知れないよ。」
「それはやだな。」
お尻をさすりながら言った。まだ、少し痛みが残っている。
「でしょ。また、あれに乗ったら、もう尻がどうなる事か。腫れて座ることすら出来なくなっちゃうよ。」
「しかたない。歩くか・・・。」
村へと続く細い道を、僕たちは歩きはじめた。
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