lotlotlot2-ふたつの道-
予期せぬ来訪者
僕たちは、屋敷の中に入った。
月に照らされた影がみっつ、屋敷の中に入っていった。

「すごいな。これがお前の力なのか?」
煌びやかな室内に圧倒された。大きなシャンデリアは、いったいいくつの飾りが輝いているのか、創りだした僕にもわからない。
「僕の力・・・なのかな?コントロール出来てれば、実感もあるのかもしれないけど、勝手に出来てしまったって感じだからね。」
「ふぅん、そう言うもんか?」
「そう言うもんだよ。」
そう答えた時、僕はとても厭な記憶を思い出してしまった。

僕の使う言術は、本当に強大な力だ。その力で、僕は・・・人を殺してしまった。どんな理由があろうと、その事実は揺るがない。
それを思い出してしまった。
深いため息をついた。
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ。」
人を殺したのは、リーグを助けるためだ。そのために、僕は人を殺めた。
なのに、そんな僕の気持ちを知らずに、屈託なく笑うリーグを疎ましいと思う事もあったのは事実だ。
友達として、リーグは大好きだけど、それだけはどうしても受け入れられなかった。

ふかふかのソファに腰掛ける。
本物なのか、偽物なのか、感触だけではまるでわからない。
「ふっはぁ。気持ちいいな。」
「駅から村まで歩くだけで、こんなに足痛くなるなんてね。エーマリリスさん、いったいどれだけお土産くれるんだよって感じだよね。」
床に置いた大きなリュックを眺めながら言った。
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