lotlotlot2-ふたつの道-
エーマリリスさんと言うのは、僕と同じ言術使いだ。
ちょっとした言術のミスで、僕たちが遠くの街に飛ばされた時に、助けてくれた恩人だ。そして、パウパウ堂と言うお店を世界中で展開している大金持ちでもある。

「エーマリリスさんの事だからさ、きっとわけの分かんないものばっかりだぜ。」
リーグは笑った。
「そうだね。そうだ、せっかくだから開けてみようか?」
そう言うと、メルツはうれしそうにリュックの周りを駆け回った。メルツは、僕の飼い犬だ。じいちゃんに似て髭もじゃだから、じいちゃんの名前をとってメルツって名付けた。
「きっと、こいつ餌もらえると思っているんだぜ。見ろよ、あのしっぽ。」
激しく左右に振っている。どんだけ喜んでるんだよと、ツッコミのひとつも入れたくなる。
「はいはい、待ってろよ。」
あんなに大きなリュックなんだ、食べ物のひとつくらい入っているだろう。そう思い、リュックに手をかけた。

「う、うわぁ。」
突然、叫び声が聞こえた。リーグのものだ。
慌てて、僕は振り向いた。
そこには、グレンスマインスがいた。黒い外骨格と長い牙。それが見えた。
グレンスマインスが、いったい何なのかわからない。生物なのか、人なのか、誰もわからない。ただ、その姿からみんな言っていた名。それがグレンスマインス(黒い牙)だ。
「いったい、どこから?」
首を捕まれ苦しんでいるリーグを前に、僕はどうする事も出来ない。
メルツも全然気がつかなかったみたいだ。僕が振り返ってから、やっとうなり声をあげ始めた。
「イ、イバーエ・・・。」
「リーグ!」
とにかく、リーグを助けなければいけない。けど、どうすればいいんだろう・・・。
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