lotlotlot2-ふたつの道-
「母さん・・・。」
心を奪われているイバーエは、それを気にすることなく歩もうとした。しかし、動けない。ゼリーが幽霊であるはずのイバーエを雁字搦めにし、いっさいの動きを封じている。
完全に動きを封じ込められ、はじめてイバーエは喚き始めた。
「放せ。放せよ。」
「うるさい。」
ゼリーはさらに量を増し、イバーエの口も覆った。
「うごうご・・・。」
「ったく、どれだけ迷惑をかければ、気が済むんじゃ。タマグイなどに惑わされおって。」

タマグイ。生き物ではない。一般的には、死に神の使徒の類らしいと言われている。死に神は死んだ者の魂を、残らず回収しなければならない。
しかしごく稀に、取りこぼす事がある。それが犬の中に魂を閉じ込めたメルツであり、今のイバーエだ。そんな魂を死に神に代わり回収する。そんな役目を担っている。
そのタマグイは魂をおびき寄せるために、魂の縁者になりすます。
そして、おびき寄せられたところを・・・狩るのだ。
ただ、決して知能は高くない。相手が死に神であれば、逆らうことは叶わない。しかし、相手がタマグイなら、人間でも容易に回避出来るのだ。
< 64 / 87 >

この作品をシェア

pagetop