lotlotlot2-ふたつの道-
けけはニヤリと笑った。

「いっけえぇぇ。」
僕の叫びと共に、無数の雷があいつに降り注ぐ。衝撃が大地を伝わり、僕やアイワイさんにも届いた。
土煙が舞った。様子を伺い知る事は出来ない。それでも、僕は勝利を確信した。なぜならたった一発の雷で僕は死んだのだ。それが無数の雷を浴びたらどうなるだろう。無事なはずがない。
「ははははは・・・。」
笑い声がする。僕でも、アイワイさんの声でもない。
「!?」
「お前、バカだろう?」
あいつの声だ。
「なんで・・・?」
理解できない。軽いパニックに陥った。
「まぁ、おかげで元気爆発だ。丘を駆け上がって、かなり死にそうだったからな・・・。あ、ここは礼を言わなきゃいけないのかな?」
「な、なんで平気なんだ?」
「なんでって・・・。お前、そんな事も知らないのか?ま、特別に教えてやるよ。」
そこではじめて、じっくり僕の事を見た。
「お前、なんで生きてる?」
「なんだ、お前だって大した事ないな。そんな事も知らないのか?」
負け惜しみだ。でも、言わずにはいられなかった。バカにされたのだから当然だ。
「ふんっ、お前の方がバカだ。」
「お前だ、お前の方がバカだ。」
くだらない言い合いをしている場合ではないと、すぐに気がつけば良かった。土煙が晴れ、あいつの姿が完全に見えた。でも、どう見ても同一人物じゃない。その姿は筋骨隆々。さっきまで僕より小さかったあいつじゃない。
「・・・こんなのって・・・。」
「だから言ったろ、バカはお前だって。ダンス系の呪文を使う俺に、雷を落としてくれるんだからな。」
<ダンス系・・・?なんの事だ。>
僕にはさっぱりわからない。対して、アイワイさんはあいつの言葉の意味を理解した。
「えっ、あいつ・・・ダンスを使うの・・・?」
アイワイが襲われたのは炎だ。だから、てっきりエフス系の魔法使いだとばかり思っていた。心が恐怖した。
「ダンスって何?」
アイワイさんに聞いた。
アイワイは驚いた。まさか、ダンスを知らない言術使いがこの世にいるとは思わなかったからだ。
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