lotlotlot2-ふたつの道-

「じいちゃんはすごいや。ホント、何でも知ってるね。」
「あぁ、じいちゃんは何でも知っておる。お前が0点を取ったテストを、ベッドの下に隠していることもな。」
焦った。
「な、なんで、じいちゃんが知ってるの？」
「言ったろ？じいちゃんは何でも知っているって。それより、驚く以外に言う事があるんじゃないか？」
じいちゃんの目は笑っている。でも、その奥にある怒りの炎を、僕は見逃せなかった。
「ご、ごめんなさい。」
「そうだ。それでいい。いいか、イバーエ。テストで悪い点を取るのは仕方ない。まぁ、じいちゃんの孫だしな。でもな、それを黙って隠しておこうと言うのはどうだろうな、どう思う？」
答えがわかっていて、じいちゃんはわざと聞いた。
「いけないと思います。」
「そうだな。もう、しないな。」
「はい。」
僕が意気消沈したのに合わすように、花火花の花は散っていた。

影が横切った。
「ん？ねぇ、じいちゃん。今、何か見えなかった？」
「そうか？じいちゃんは何も見えなかったけどな。」
そう言いながら、僕を自分の後ろに隠した。

つむじ風に触れてしまった時のように、じいちゃんの手の甲が切れた。僕の顔に、血が何滴もついた。
「じいちゃん！」
「大丈夫じゃ。それより、じいちゃんから離れるんでないぞ。」
「うん。」
僕はじいちゃんにしがみついた。

「lot。」
言術を唱えた。
すると、周りに大きな鳥かごが出来た。その中に、僕たちはいる。
「ほら、これで入って来れないはずじゃ。」
「何なの？何なの、じいちゃん？」
「この動き、グレンスマインスじゃな。」
「グレンスマインス？」
「あぁ、そうじゃ。」
聞いた事もない。僕には何のことか、想像すら出来なかった。