lotlotlot2-ふたつの道-
気持ちは脆く、そして複雑だ
一通りのものを胃から出し尽くし、僕はやっと落ち着いた。
瞳の周りには乾いた涙が張り付き、瞬きを妨げる。
「・・・大丈夫?」
あまりの事に、アイワイさんははじめ言葉をかけるのを躊躇ったようだった。
「うん・・・。」
返事と僕の表情は同期していなかった。
「どうしたの?急に・・・。」
「・・・。」
理由は言いたくなかった。
「言いたくないなら・・・いいよ。」
あさっりと引いた。それは好都合だ。人を殺した事を思い出したなんて、決して口に出したくない。自分で言うのもあれだけど、わりと良い子にしてきたつもりだ。それが人を殺したなんて・・・あり得ない。
「・・・ごめん。」
「気にしないで・・・。それより体、大丈夫?」
「うん、何とか・・・。」
「これから・・・どうする?」
どうすると聞かれても困った。アイワイさんの表情は、リーグを探しに行く事しか考えていない。
「・・・どうしようか?」
わざとそう答えた。
彼女もそれに気がついたようだ。はじめは言いづらそうだった。しかし、一人頷き、それから僕に言った。
「・・・リーグ君、探しに行こう・・・。」
断れるはずがない。僕は首を縦に振った。
「ありがとう。」
彼女は笑った。それが僕には哀しく映った。
立ち上がり、森を目指した。
その時、僕は何かを踏んづけた。ただ、小さかったから気がつかなかった。
そのまま森に向かう。
< 83 / 87 >

この作品をシェア

pagetop