紅芳記
「おなみ!」
問屋の屋敷に着くなり、私は人目も気にせずおなみを探そうとしました。
しかし、屋敷の者たちが私に気付き集まってきてしまいました。
「こ、これは、姫さま!
何故このような所に…?」
「おなみは?
おなみに会いに来ました。」
すると、屋敷の者たちは皆、暗い表情をしました。
「旦那さまと、奥さまは先程……野盗に、襲われ………亡くなりまして、ございま「嘘じゃ!」
涙ながらに言う男の言葉を、私は断ち切りました。
「嘘ではございませぬ!」