紅芳記

婚儀は緊張し過ぎて、何をどうしたのか全く覚えていません。

ただ、信幸さまの印象だけが鮮明に残っいます。



凛々しい立ち振る舞いに、端正なお顔立ち。

武家の後継ぎらしい体格と低い声。

まだ十五の私には不釣り合いなのではないかと思うほどでした。

確かなのは、私が一瞬で心を奪われてしまったということだけ…。


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