紅芳記

夜。

寝巻に着替えた私は、寝所で信幸さまを待ちます。

ゆっくりと近づいてくる足音。

御簾を上げて、信幸さまがいらっしゃいました。

私は深々と頭を下げます。

信幸さまは無言で私の布団の隣、ご自分の布団へ腰掛けられました。

近くで見ると、大人の、君主の威厳も兼ね備えていらっしゃいます。

私は十五、信幸さまは二十一。

どうしても不安が拭えず、緊張の糸を張り巡らしておりました。


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