紅芳記
私が不安な表情をしてしいたの気がつかれでしょうか、信幸さまは、ゆっくりと私に近づいいらっしゃいました。
そして、
「小松。」
確かめるように、私の名を呼ばれました。
私は信幸さまを見つめることしかできません。
「そなたは、わしの妻じゃ。
何があろうとも、わしの傍にいてほしい。」
そのお言葉は、歳の差を気にしていた私にとって何より心強いものでした。
信幸さまは、まだ幼さの残る私を、妻として受け入れてくださったのだわ…。
嬉しくて、思わず笑みがこぼれてしまいました。