紅芳記

「小松…?」

信幸さまの手が、私の手に触れました。

体が反応して思わず顔を上げてしまいました。

信幸さまはまっすぐに私を見ておられます。

また、顔が赤くなるのがわかりましたが、捕われた視線をそらすことなどできませんでした。

「ぷっ………!」

「え…!?」

突然、信幸さまが吹き出しました。

それでも必死で笑いを堪えようとなさっているのがわかります…。

「ど、どうかなさいましたか………!?」

「すまん、すまん。
姫の顔があまりにも赤い故に面白くてつい…。」

そう言うと、さらに信幸さまは笑い出されました。

私は恥ずかしくてそっぽを向いてしまいました…。

まだ、顔が熱い…。

「小松…。」

私がふて腐れていると、信幸さまに半ば無理矢理に正面をむかされ、口づけられました。


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