【短編】キミと、あたし。
「…隣のクラスの奴がアミを狙ってるって聞いたんだ。
もしかしたら付き合ってしまうかもしれないし
アミも前からそいつの事が好きだったかもしれない。
それならそれで諦めが付くけど
その前に気持ち言っときたくってさ…」
「うん…」
テツは偉い。
あたしなんて気持ちを伝えることすらできてない。
叶わない気持ちだって知っていても 諦められないのに。
「振られても大丈夫だよ、俺は」
強いからさ。
と、彼は寂しそうに笑うんだ。
――大丈夫だよ。
振られるなんてあり得ない。
テツの良さをアミも知っているんだから。
唇を一度、キュッと噛み締めて
振り向いた。
「大丈夫。絶対上手くいく!あたしが保証する。だから」
頑張って
精一杯の笑顔を見せたはずだったのに。
「何で泣いてんだよ」
困った顔をする彼に頭を撫でられて、
頬を伝うものに一層の熱を感じた。