【短編】キミと、あたし。
――――――結局、あたしがアミに付いて行く事はなかった。
あたしの知らない場所で
テツが彼女を呼びだしたからだ。
客足が遠のいた瞬間を狙い、射的の商品を並べ直していた時。
いつの間にか部活の催し物を終えて帰って来たらしいテツが
あたしの背後に周り、高い所の商品を置き始めた。
時々当たる彼のブレザーですらトキメキの材料になる。
…布切れだけでこんなにも胸が踊るのか。
顔が見えなくて良かった。
今のあたしはきっと耳まで赤いだろう。
「あのさ」
突然口を開くもんだから、びっくりして縫いぐるみを落としてしまった。
「な…何?」
振り返らず、そのままの位置で。
「俺…今日言うわ」
“何を?誰に?”
なんて、聞かなくても分かる。
「言うんだ…」
そっか。
「テツなら大丈夫だよ。きっと」
鼻がツンとして
声が震える。
上手く笑顔を作れない。