【短編】キミと、あたし。






――――――結局、あたしがアミに付いて行く事はなかった。



あたしの知らない場所で


テツが彼女を呼びだしたからだ。




客足が遠のいた瞬間を狙い、射的の商品を並べ直していた時。

いつの間にか部活の催し物を終えて帰って来たらしいテツが



あたしの背後に周り、高い所の商品を置き始めた。



時々当たる彼のブレザーですらトキメキの材料になる。


…布切れだけでこんなにも胸が踊るのか。



顔が見えなくて良かった。



今のあたしはきっと耳まで赤いだろう。




「あのさ」



突然口を開くもんだから、びっくりして縫いぐるみを落としてしまった。



「な…何?」


振り返らず、そのままの位置で。





「俺…今日言うわ」



“何を?誰に?”




なんて、聞かなくても分かる。



「言うんだ…」



そっか。



「テツなら大丈夫だよ。きっと」



鼻がツンとして


声が震える。


上手く笑顔を作れない。






< 24 / 49 >

この作品をシェア

pagetop