【短編】キミと、あたし。
「忘れるんじゃなかったのか?」
「………そんなことしなくても、いつか忘れられるよ」
学校祭の後にあったキャンプファイヤーの時、
目を泣き腫らしたまま、ごうごうと燃える火を春基と見て
『こんな気持ち、忘れたい』
そう言っていた事を思い出した。
それは変わらない。
忘れてしまえば辛くなくなる。
だけど。
本当に忘れてしまうのは寂しい気がする。
それに、勝手に失恋してまだ2カ月だもの。
忘れるには早すぎる気がした。
「本当に忘れられる日が来るのか?
だってお前、何にもしてないだろう」
「…どうやればいいか、分からない」
「違う。お前は逃げてるだけだ」