甘いクスリ
 

「ああ、都築さん?」




三回目のコールで
彼女は電話にでる。

『あ、こんばんは。』


何で電話してきたの?とか
言い出し兼ねない語気の彼女に

・・・ちょっと、むかつく


「何で、今日来なかった?」

ムッとした声で問えば
しばしの沈黙のあと、

『すいません色々あって
いけませんでした。』
って。


まさかの、
ライブ前なのに?


・・・ 有り得ねぇ・・・

「随分、余裕なんだな。」

引きつりもって返せば
電話の向こうで
妙な沈黙がおこる。


「そうだ。怪我したって?
指とか、手とか平気?」

話題を変更がてら
気になっていた事を尋ねれば


『大丈夫です。』

 
そっけない返事。


まずい・・・なんか
いいだしにくなってきた。


「・・・あのぅ。じつは

下まできてたり
するんだけど・・・

入れてもらえないっすか?

今日こそ、ちゃんと
帰るから。」

何とも、
みっともない台詞をはく。

・・・それより
今日こそ、ちゃんと
言う事あんだろ?俺?








 


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