Libra ~揺れる乙女心~
「ううん。私は大丈夫。トイレに来たら、星が綺麗だなぁって思って。」
隆介は星空を見上げたまま、しばらく動かない。
意外にロマンチストな隆介は、目を閉じて何かを祈っているように見えた。
「隆介…何、願ってんの?エースナンバーもらえますようにって?」
「ば~か、いらねぇよ。そんなの。俺は10が好きだから」
冗談でもそんなこと言うんじゃなかった。
欲しいなんて言えないよね。
「鈴子、お前どうして別れたの?」
隆介とこうして話していると、夏の花火の日を思い出す。
あの日、私は健太に告白されて、付き合うことになったんだっけ。
「どうしてって…」
言えるわけない。
健太と隆介どっちも好きで選べなかったから…なんて。
大好きな2人がこんなに近くにいるなんて、私は幸せ者。
でも、そのせいでどっちもどんどん好きになるのも事実。
でも、決めたんだ。
私の隣で笑っていて欲しいのは健太なんだ。
隆介は遠くから眺めているくらいがちょうどいい。