Libra ~揺れる乙女心~
「それよりお前、最近健太の様子変じゃない?何か聞いてる?」
お前って言う時に、私の左肩に手を乗せた。
何気ないこと。
誰にでもすること。
だけど、私はその肩に乗せられた手の感触を忘れないんだ。
いつもとちょっと違う会話。
部活での隆介とは少し違う顔。
「健太・・・最近話してくれないんだぁ、私にも。」
私の声は、コンビニの前にたまっている中学生達の笑い声でかき消される。
「ん?何?」
隆介は顔を近づけて、私の声を探す。
鈍感な奴。
ドキドキしてる自分が悔しいけど、
初めて声をかけてくれたあの日から、理由はわからないけどずっとドキドキしてる。
「健太、私にも最近話してくれないの!」
照れ隠しに大声を出した私に、隆介は『うるせーよ』って言いながら、
私の頭思いっきり叩く。
2人で笑いながら、不思議な色の空を眺めた。
さっきまでの色はもうどこかへ消えていた。
練習用の花火が一発上がって、隆介は珍しく興奮して、喜んだ。
こんな隆介を見るのは初めてだった。
花火を指差しながら、私の背中バシバシ叩く隆介。
・・・誰も来ないで。
2人で、花火が見たいよ・・・