Libra ~揺れる乙女心~


「私、わがままだよね。どっちも大事でどっちも好きなんだ。」


鈴子は、花火の音の中、俺の耳に口を近づけて言った。




男として、これは喜ぶべきなのか悲しむべきなのかわからないけど、

俺は涙出るくらいに嬉しかったんだ。



俺も好きってことだろ?


隆介も好きだけど、俺のことも好きってことだろ?




嬉しい。


嬉しい!!!


俺はまた鈴子の肩を抱いた。


鈴子は、呆れたように俺の頭を叩いて笑った。



「健太、手、早いよ!」


そう言った鈴子をもう一度抱きしめて、



俺は


キスをした。






俺も知らなかった俺の新しい一面。


俺って、考えるより先に体が動く生き物らしい。



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