Libra ~揺れる乙女心~



夏休みの大きな出来事と言えば、健太に彼女ができたこと。


花火大会の日、俺が理沙と花火を見ている時。


健太は、野球部のマネージャーの鈴子に告白した。




まぁ、何となく気付いていた。


その頃、健太の様子はおかしすぎた。



好きな女ができたことはわかってたんだ。



ただ、その相手が鈴子であることには、俺だけでなく誰も気付いていなかった。




それは、ちょっとだけ困ったことだった。





鈴子はマネージャーで、俺にとっても鈴子は大事な存在だった。


恋とかじゃねぇけど、他の女子とは明らかに違う存在。




何でも話せて、何でも頼めて、ある意味彼女といるよりもラクだった。



健太と鈴子が付き合ったことで、俺は鈴子に何か頼むのを遠慮するようになった。




それは、健太への気遣い。


俺だったら嫌だから。



自分の彼女が他の男に偉そうに何かを頼まれていたら・・・




俺だったら、彼女が他の男の為に洗濯したり、レモン水を作ったりするだけでも、嫌になってしまうかも知れない。




最近知ったけど・・・



俺は嫉妬をする生き物だ。






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