Libra ~揺れる乙女心~
私の好きな矢野隆介とは対照的なアイツ。
優しくて、面倒見が良くて…
馴れ馴れしく私を「鈴子」って呼ぶ。
『桜井健太』
彼から「鈴子」なんて呼ばれることは、ものすごくありがたいことなのかもしれない。
ファンクラブができるほどの人気者の健太に探してもらえた私は、幸せ者なんだ。
でも、
私が探してほしかった人は、健太ではなく隆介だったんだ。
なかなかカーテンの中から出ることができなかった。
私の顔も見えないのに、私を私だと認識できる健太もすごい。
短いスカートに、落書きだらけのスリッパ・・・
ポケットから見えてる携帯のストラップ。
大きなピンクの人形が揺れるのを、きっと健太は見たんだね。
『変なの、お前センスねぇな』
隆介にそう言われたストラップ。
話しかけてくれたことがうれしくて、ずっとそれをつけていた。
健太は、かばってくれたっけ。
『かわいいじゃん!面白いし』
いつだって、誰にでも優しくて、笑顔が素敵な健太。