Libra ~揺れる乙女心~
目を閉じている間に、観覧車の終わりが近付いていた。
理沙は初めてのキスではない。
いつの間にか、理沙のペースになっていた。
ハマっていく自分が怖い。
理沙を信じていいのか?
俺には野球があればそれでいい。
なのに、この柔らかな体を抱きしめていると、野球を忘れてしまう。
しっかりと握られた健太と鈴子の手を、うらやましいと思いながら、遊園地の出口へと向かう。
俺は健太にはなれない。
好きな相手に素直に好きだと言うことも、
態度で示すこともできない。
その日の帰り道、
俺と理沙はラブホテルに行った。
理沙は何度も好きだと言い、俺は一度も言えなかった。
本当に好きになると、俺は好きだと言えないようだ。