Libra ~揺れる乙女心~
体がひとつになることで、心までひとつになった気がした。
俺はまだ子供なんだろうか。
結ばれたのは体であって、心ではない。
理沙の心の中なんて、見えやしないのに…
理沙を送って行った後、俺は夜空を見上げた。
小さい頃から、寂しい夜はいつも星を眺めた。
星は、動いていないようで動いている。
キラキラっと光ったかと思えば、少し濃くなったり薄くなったりもする。
星を見ていると、心が落ち着いてくるんだ。
どこかにいる母さんも、星を見ているかも知れない。
星を見つめながら、俺のことを想っているかも知れない。
それは、俺の願いだった。
そばにいてくれなくてもいいから、
せめて、母さんの心の中に『隆介』という人間がいてほしい。
遠回りして、家までの道をゆっくりとゆっくりと歩いた。