天然なあたしは悪MANに恋をする
「…って、やっぱ無理だから、俺が瑞那の部屋に来ちゃった」

用意してもらった客間の布団の中でウトウトしているあたしの隣に、立宮先輩が潜り込んできた

あたしの腰に手をまわしてぐいっと引き寄せられると、あたしの瞼がぱちっと引き上がった

「せ…先輩?」

あたしはびっくりして、布団の中から飛び出そうとした

ぐっと力の入った先輩の腕からは、あたしの身体は抜けそうにない

「好きなヤツが近くにいるってわかってるのに、自分の部屋で寝られるかよっつうの。最後まではしないけど…いちゃいちゃしようぜ」

先輩がにこにこと笑っている

風呂上がりの金髪の髪は、さらさらで学校にいるときの先輩のイメージとは少し違った

「なあ、瑞那はピアスとか開けないのか?」

先輩があたしの耳たぶを触りながら聞いてくる

「え? あ、そうですねえ」

先輩に触れられた耳が、熱を持ち始める

心臓がばくばくして、先輩に聞こえそうなくらい大きな音をたてていた

「なんで?」

「いや、別にこれと言って理由はないですけど。それに学校では駄目じゃなかったですか? 確か禁止って」

「まあ、一応な。でも俺、じゃらじゃらしたのとかよくつけてるけど何も言われねえよ?」

「それは…立宮先輩だからじゃないですか?」

「ネックレスをつけようが、指輪をつけようが…何も言われねえよ」

「だから、立宮先輩だからですよ。あたしがつけたら、すぐに呼び出しがかかると思いますよ」

「俺の女だってわかりゃ、誰も何も言わなくなる」

先輩があたしの前髪に指先を絡めた

「『女』って……あたし、別に」

あたしは先輩から目をそらした

「忘れるんだろ?」

「…はい」

「なら、俺の女でいいじゃん」

先輩があたしの額にキスを落とした

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