約束
「この子の友達が迷子になっちゃったんだって。探しに行っていいかな」

「いいよ。映画はまた今度でもいいから」

 私達は彼女と一緒に公園まで行くことにした。無事にたどり着き、ほっとする。

 彼女と一緒に砂場まで行くが、男の子の姿はあるが、その「くうちゃん」はどこにもいないようだった。彼女の大きな瞳から涙がこぼれる。

 警察に行って事情を説明したほうがいいんだろうかと思ったとき、ベンチにぬいぐるみが置かれているのに気づいた。ひらめくものがあり、そのぬいぐるみを抱きかかえ、彼女のそばに戻る。

「くうちゃん」

 彼女はそう言うと、そのぬいぐるみを受け取ると、抱きしめていた。大きな目から涙がとまり、頬をほんのりと赤くさせている。

「だってあれってぬいぐるみじゃ」

「幼稚園のときのクラスメイトにぬいぐるみのことを名前で呼んでいる子がいたから、まさかと思ったの。でも、よかった」

「お姉ちゃん、お兄ちゃんありがとう」

 彼女はそう言うと、頭を下げ、そのぬいぐるみを抱きかかえ、来た道を戻っていく。

 私は時間を確認する。上映時間の十分前だった。おそらく今から行っても途中からしか見れないだろう。

「今からだと間に合わないね。ごめんね」

「次の上映時間でいいよ。昼過ぎだっけ」

 私は彼の言葉にうなずく。時間をつぶすことを考えたが、まだお腹がすくには早い。

 迷っている私に木原君が声をかける。
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