約束
「一つ、頼みごとをしていい?」

「何?」

「プレゼントを探すのを手伝ってほしいんだ。君がほしいものでいいから」

「私がでいいんだよね。とりあえずいろいろ見て回ろうか」

 彼から意外な大役を与えられてしまった。でも、頼られるのは悪い気がしない。

 とりあえず映画館に向かいつつ、私のほしいものを探すことにした。

 レンガ造りの町並みの中に足を踏み入れる。そこには大きな木が並んでいた。

秋になると真っ赤に染まる木々が、この時期は青々とした緑を茂らせる。ここには比較的可愛いお店が並んでいるのだ。

 私の足はある一点で止まる。ショーウインドウには多くの宝石が並んでいる。

「こういうのがほしいの?」

 彼は難しい顔をしていた。

「何でないの。私の個人的な好みの問題だから。これがすごく綺麗だなって思ってさ。別の商品を探そうか」

 私はさっきまで見ていたチェーンのネックレスを指すと、歩き出すことにした。だが、すぐにその足は止まる。

 三件隣のお店に大きなクマのぬいぐるみを発見したからだ。三歳か、四歳ほどの子供の大きさくらいはゆうにあるものだった。

さっきの女の子のことも思い出し、顔をほころばせていた。昔、こういうのをほしいと親にねだって怒られた記憶がある。

「可愛いね」

 私は振り返ると、彼を見た。

 だが、木原君は悲し気な目でその人形を見つめていた。

「木原君?」

 彼は目を見張り、私を見て笑顔を浮かべる。
< 230 / 546 >

この作品をシェア

pagetop