約束
 一瞬、木原君の顔が引きつるのが分かった。彼の顔が少し赤くなる。


そんな人がいるからか、姉の言葉に負けたのか理由は定かではないけど、どこか気にかかることがあったのだろう。


 彼が誰かに世話をしてもらい、その誰かが彼の彼女になるなんて考えると、今日の放課後まで思っていた見守るだけでいいという気持ちはどこかに吹き飛んでいた。

「いいよ。ここに住んでも」

 私は自分の顔が赤くなるのが分かった。その上、可愛くない言い方をしてしまった。今の自分の姿は絶対に鏡で見たくなかった。

何かで隠せるなら、隠したい。彼が有無を言う前に姉は木原君の背中を軽く押す。
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