Dice
Age 16 : Vo.2 - 1+2=3 -
入学してようやく1週間を過ぎたころ。


友達ができた。「斉藤 あずさ」サイトウアズサ。


私の席から横列で隣の隣。笑顔の可愛い無口な子。



「消しゴム落ちてる」



これが私とその子を友達にした。


家は隣町で通学の電車は違うけどお互いにペースが似ていて居心地が良かった。


お互い口数は少ないものの、仲良くやっていた。



そんな頃から周りからも声をかけられる機会が増えた。


私はその頃、読書にハマっていた。毎日教科書より本を優先した。


学校の図書館の管理人の人達にすぐに覚えられた。


読書に熱中して昼を忘れて没頭してた私に声をかけた一人の子。


目をクリックリさせて横から覗き込む、人懐っこい仕草。



「何読んでんの?むずかしそうだよね?」


「難しくはないけど、面白くないかもね。」


「授業中下向いて、教科書に挟んで読んでるよね。私知ってる。」


「先生にバレないようにしないとね。」


「そうだね」



彼女の名前は「村岡 愛子」。ムラオカアイコ。


彼女は読書をしている私を気にもせず、横に座って何やら写真の整理をしている。


授業が始まると私は本を開き、教科書の間に挟んだ。


少し教科書を立てて先生からは見えないようにして。


ふと、視線に気がつき辺りを見ると、愛子が歯をわざと見せるようにニカっと笑った。
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