Blue Book
諦めた先生は、額にあてていた左手を顔を撫でるようにゆっくりとおろし、疲れたような顔をしてみせてからプリントを渡してきた。

なんだこの芝居は、

と思いつつなぜだか重たい腕を持ち上げて受け取る。

先生が何も言わずに、私の方へ向けていた体を机に向けたので、私も何も言わずにドアへ向かった。

やっと帰れる。

「しつれーしましたー」

間延びした声はだるいせい。

後ろ手にドアをしめて、廊下に置いておいたカバンを持ち、土間へと歩く。

スリッパがパタンパタンと歩く度にかかとから離れて、音をたてた。

進路ねー……。

心の中で、間を置いて何度も呟く。

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