黒猫眠り姫〔上〕[完]

嵐の前の静けさ


最近は、寝不足な湊。

どうやら、仕事が大変らしい。

あたしも暇を持て余してるわけではなく、

期末の勉強をやってみた。

いつもは適当にやったり、やらなかったり

してたけど、大学進学を目指してるのに

勉強を疎かにしてしまうわけにはいかないと

思った。

一緒に夜更かしすると、湊は決まって

少しの睡眠時間をとるように言う。

週明けには期末テストも終わる。

夏休みに入ったら海に行く約束

もしてた。

「湊、仕事大丈夫?」

疲れても疲れたって言わない人だから

すごく心配で仕方ない。

「鈴こそ、勉強は捗ってる?」

テーブルにあったグラスコップ

に入ってる蜂蜜たっぷりのレモン

水を流し込む。

「うん。ちょっと、休憩。」

湊のグラスに蜂蜜レモン水を

作るためにキッチンに向かった。

部屋は丁度いい温度にセットされた

クーラーで涼しかった。

キッチンで、蜂蜜レモン水を

作る。

この甘酸っぱさがすごく好き。

夜中だっていうのにこんなに

目がさえてると、夜行性の

動物になった気がしてしまう。

確か、猫も夜行性だったっけ?

脳内に糖分が足りない。

「湊。」

部屋に戻ると、パソコンと睨めっこ

する湊が私へと視線を向けた。

「コンビニ行ってくる。」

チョコレート食べたい。

甘いものを何か、買いに行こう。

コンビニはこんな時間でもやってる。
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