彩葉唄
「貴様っ、霧夜先輩を殺そうとしたのか!」
頭に血が上り、斬り掛かった英総の攻撃を全て避けながら、彩葉は笑っていた。
ただただ綺麗に笑っていた。その反応が、今の英総を更に苛立たせることだとわかっていたのに。
何度も何度も刀を振るうが、彩葉はそれを容易に避けつづける。英総の怒りは更に募っていく。
「英総、屈め!」
英総が声に従い素早く屈むのと、彩葉に向けて霧夜が小刀を投げるのは同時。
不意をつかれた彩葉はそれを避けることができず、小刀は右肩に突き刺さる。苦痛に一瞬顔を歪めた彩葉だが、直ぐさま踵を返し駆けて行った。
「あの野郎っ!」
彩葉を追いかけようとした英総の左腕を霧夜は掴むと、自分の方へ引き寄せた。