三月の告白





それから、みんな黙って列になって体育館までの道を歩いた。

すでに目が赤くなってる人や、鼻を啜る音が聞こえてくる。





あたしはなぜかボーッとしちゃって、頭が回らなくて。


また、気がついたら体育館の前にいて、佳南の背中にぶつかりそうになった。

……やっぱり、現実感が湧かないんだと思う。


速まる心臓の音だけがリアルで。



「みだしなみは大丈夫か」



担任がみんなに声をかける。
なんだかみんな、いつもよりしゃんとして、凛々しくみえる。


それでふと思える。
『あぁそっか、明日からは高校生なんだもんなぁ』って。










ピアノの音と、拍手が両の耳に溢れだした。


“式の始まり”


知り合いの後輩、小学校の頃から友達の子も顔見知りの子も

仲良しの先生、たくさん叱られたし迷惑かけたしでもいつも許してくれて色んなことをたくさんたくさん教えてくれた


お母さん、お父さん、もう涙ぐんでるお母さんも一生懸命ビデオを撮るお父さんも二人共笑顔


あたしはその全部を見て、聞き慣れた校歌さえ愛しくなって、手を振る後輩に、バンドのファンだと言ってくれる子達に、お母さんお父さんに、お世話になった先生達に、この校舎に、

溢れて止まない笑顔を向けた。

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