裏腹

自殺

目の前に在るのは結んだ縄。




目の前に広がるのは広く青い海。



目の前に落ちているのは鋭利なナイフ。





頭の中に広がるのは絶望と虚しさ。







死にたくなったのはいつからだ。



死に方を考え始めたのはいつだ。



解らない。



でも一つはっきりしていることは、僕は生きていたくないということだ。





なら話は早い。

死ねばいい。







僕はナイフを手に取り、薬瓶の蓋を開けた。



大量の睡眠薬を飲み干し、豪快に手首を切り裂く。





真っ赤で綺麗な雨の中、僕は縄に手を掛ける。







やるならとことんまでやろう。




そして首を輪に掛けた瞬間、僕の命は消えた。







赤い部屋にぶら下がった青黒い元「人」。




表情はとても安らかだった。





誰も得なんかしないのに。






(いずれ誰しも忘れ去られるなら、せめて死体は綺麗にしたい)


From Hell...
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