裏腹

ホテル

一人、一人、一人、一人、独り、独り、独り…。


開かない窓、小さな冷蔵庫、固いベッド、安っぽいテレビ、不要な程大きな鏡。




明日の為に過ごす一室。



誰も訪ねてこない。




誰もいない。


ゴミ箱と灰皿だけが腹を満たす。



小さな個室の中の風呂場とトイレ。


狭い中でただ湯気をあげる。





何をしにここに来たのか。

橙の小さな電灯に語り掛ける。




答えは見つからない。



独り、独り、独り、一人、一人、一人…。




誰も居ない。
暗い部屋。





芽吹いたのは…。

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