ひなたぼっこ~先生の、隣~

今、目の前にいる先生はいつもと同じ。

けど数十分前の先生は、呼び出した生徒に向かって怒鳴っていたと思う。

こんな風に考えちゃいけないかもしれないけどー…


今、こうして先生と一緒にいる自分が特別なんだと思ってしまう。


「できたぞ!」

嬉しそうな顔で、先生が出来上がったばかりのラーメンを見せてきた。

「…」

鍋の中のラーメンは、若干伸びているような…?

そう思いながら、黙ってラーメンを見つめているとー…


「2人分だから、量を増やしてみた!それに、汁があると早く食べれないだろう?」

と、意味のわからない言い訳を言い、誤魔化そうと必死。


「アハハ!」

そんな先生が、おかしかった。

「ほら、笑ってないで早く食べろ!あと10分で、昼休み終わるぞ!!」

棚から箸を出し、先生が強引に渡してきた。


「あ…いや、まてよ…」

ラーメンを掴んでいた先生の箸が、止まった。

「どうしたんですか?」

「次の授業、お前のクラスじゃねぇか…なら、遅刻してもいいよな」

「先生…」


「鈴木たちが悪いんだから、気にするな。アイツらのせいで、俺の昼飯が買えなかったんだから」

「鈴木くんたち、何したんですか?」

「あぁ、ちょっとな。って、妹尾。食べないなら、食べちゃうぞ?」


いつも通りの先生に見えるけど、鈴木くんたちの話をしたときには、少しだけ眉間にシワを寄せた。


よっぽど、怒れることだったのだろうか?


私が生徒じゃなかったら、話を聞くことができたのにー…









「あーーー!!さっきよりも、麺の量が増えてる!」

「へ?」


鍋を覗き込んでみると、食べて減ったはずなのに増えていた。


「「…」」





"まずそう…"







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