ひなたぼっこ~先生の、隣~
「鈴木!!何、ニヤニヤしてんだ!?ちゃんと聞いてんのか!?」
午後の授業には、なんとか間に合ったけど…
「浜野!寝てんじゃねぇ!」
高橋先生の機嫌は、最高に悪い。
原因は、鈴木くん達のこともあるけど…あの、のびきったラーメン。
「高橋、機嫌悪すぎ~。あんまりカリカリしてると、ハゲるよ?」
「うっせ!俺はまだ、28歳のピチピチだ!」
「ピチピチとか使うなよ~」
「古すぎ。おっさん」
「おい!今、おっさんって言った奴!放課後、生徒指導室来るか!?」
結局、二人でなんとか食べ終えたけど。
美味しい、とは言えないものだった。
「…葉、泰葉」
振り返ると、名前を呼んでいたのは後ろの席の香奈だった。
「昼休み、どこ行ってたの?いきなり、いなくなるから心配した」
「あ…ゴメン。売店に行って…」
「そのあと、どこにいたの?」
「えっ…と」
家庭科室で、先生とラーメン食べてたなんて言っちゃダメだよね。
他に言い訳ー…
「こぉら!安川!」
ビク!
「授業中の私語は、慎め!」
「ちょっと、何で私だけ?」
「お前の声がでかいからだ!」
先生の発言に一瞬、教室が静かになった。
が…
「確かに、香奈の声はでかい」
「内緒話には向いてないタイプだもんな」
「ちょ!みんなまで…ヒドくない!?」
「「アハハ!」」
教室中が、笑いに包まれた。
泰葉だけが一人、ホッと胸を撫で下ろす。
チラッと、教卓の前に立っている先生を見ると"シー"っとしてきた。
小さくコクリと頷くと、ニカッと笑い"よしっ!"という表情を見せた。
「…っ」
先生、ひどいです。
せっかく今、胸を撫で下ろしたところだったのにー…
また、ドキドキし始めちゃったじゃないですか。