私と彼の関係
 しばらく経つと、宮野君のお母さんがやってきてくれた。


 彼女は私の傍まで来ると、顔を覗き込むように屈み、私の額に触れる。


「すごく熱が高いわね。病院まで送ろうか?」


「大丈夫です。眠れば大丈夫だと思うし」


 私はできるだけ笑顔でそういう。


 心配してくれる宮野君のお母さんとは違い、宮野君はどこか冷めた目で私を見ているのに気付き、できるだけ目を合わせないようにした。


「ひとりにしておくのは心配ね。私の家に来る?」


「大丈夫です」


 これ以上迷惑をかけたくなかったし、惨めになりたくなかったからだ。


 私達は車に乗ることになった。宮野君は助手席に乗るのかと思っていたら、宮野君は私の隣に乗っていた。


 宮野君は私の手に軽く手を重ねていた。


 私が何かを言う前に、彼はそっと囁く。


「家についたら起こすから、きつかったら眠っていてもいいよ」


 彼の手のあたたかさを感じながら、宮野君に対して悪いという気持ちがいっぱいあったのにそう言ってくれて、ほっとしたからか、そのまま目を閉じるようにして眠っていた。


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