私と彼の関係
 家に帰る途中、ふらっとあしのおもむくままに歩いていた。


 止まったのが宮野君の家の前だった。


 約束もしていないのにこんなところに勝手にいたら迷惑な人になってしまう。


 私があわてて戻ろうとしたとき、そこに立っていた人と目があった。


 そこにはスーパーのビニール袋を手にした宮野君の姿があった。


 やばい。


 でも、逃げることもできずに立ちすくんでいると、彼は大げさに肩をすくめた。



「何か用だった?」


 その優しい笑顔に後押しされるように、私は口を開く。


「明日一緒に出かけない?」


 彼女の思いに気づいて、すごく複雑だった。同時に湧き上がってきたのが、すごく羨ましいという気持ちだ。


 私には宮野君との思い出らしい思い出がないから。


 それに彼女は、偽りじゃない、本当の関係で宮野君と一緒にいられたから。


 過ごした年数が何倍も違うからこそ、思い出を作りたかった。
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