私と彼の関係
 彼も知っていたみたいだ。私はその言葉にうなずく。


「でも、だからってデートの途中に」


「彼にとってあの子は特別なんだと思うよ。私だってその気持ちはわかるから。それにののかちゃんにとって頼れる存在なんだと思うよ」


「でも、今日誕生日なんだから、わがまま言ってもよかったんじゃない?」


 私はその言葉に驚いて彼を見ていた。


 だって誰にも言わなかったから。


「宮野君から聞いたの?」


 知っていたんだろうか。知っていて何も言わずに帰ってしまったとしたらつらいけど。


 彼は首を横に振る。


 そのことにほっと胸をなでおろす。


「ずっと前から知っていたよ。俺は」


 彼はそこで口を噤んだ。


 そのとき、花火の音がした。また、花火が打ちあがっていたのだ。


 どんな理由があるにせよ、ののかちゃんと一緒にいる。そして、今、ののかちゃんと一緒に見ているんだろうか。


「今日は俺と一緒に回ろうか。頼りない代役だけど」
< 177 / 235 >

この作品をシェア

pagetop