私と彼の関係
「でも、誰かと一緒じゃないの?」


「集団で来ているから、一人くらい抜けても平気だよ」


 彼は私に有無を言わせず、友達らしき人に電話をしてしまった。すぐに、知り合いと回るからというと電話を切ってしまった。


「いいの?」


「いいよ」


「ありがとう」


 私のためにそうしてくれたんだろうか。


 申し訳ないけど、誰かと一緒にいることで今の孤独な気持ちから逃れられる気がして、うれしかった。


「そういえば、さっき、どうして私の誕生日を知っていたの?」


「君のことを知りたくて、君と同じ高校に通っている友達に聞いた」


「何で?」


 面識のない彼がなぜそんなことを知りたがっているのかわからなかった。


 また花火の音が鳴り響く。その音にまぎれるように小さな告白が届いた。


「俺は君が好きだから」


 彼は頬を赤く染め、唇を軽く噛んでいた。


 大好きだった人に、別の新しい約束を優先された日に、新しく届いた言葉に、
どうすることもできずに彼をただ見つめていた。
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