私と彼の関係
 それなのに宮野君を理由として断ることもできない。

 別に私の気持ちを言う方法もあった。でも、こんなみじめな思いを抱いた日に、宮野君が好きだとは言えなかった。余計に悲しくなるから。


「君と宮野が本気で付き合っていないことは知っているよ。宮野から聞いたから。振りだって」


 彼の言葉に必要以上にショックを受けている私がいた。それは宮野君が彼にそのことを話していたからだ。


 あいにも同じことを言ったはずなのに、宮野君から聞かされたという言葉は私の胸を痛めた。


 わかっていたのに、今はその言葉がつらかった。


 私は言われるがまま、彼と連絡先を交換した。


「戸締りに気をつけて」


 そんな彼の言葉に見送られて、家の中に入った。



 ドアを閉めると、リビングのソファに座りこむ。携帯を取り出した。


 宮野君からメールも届いていなかった。届くわけがないとわかっていても、私はその日、ずっと携帯を手放すことができないでいた。
< 180 / 235 >

この作品をシェア

pagetop