私と彼の関係
 彼は家の近くまで私を送ってくれた。結局どこも見れずに彼に家に送ってもらったところだった。


 家の前まで来ると、彼に頭を下げる。


 顔をあげて目があったけど、気まずい沈黙が流れていた。


 彼は困ったように苦笑いを浮かべている。


「今日の話だけどさ」


 私が何も言えないでいると、彼はそう話を切り出してくる。


「君が宮野を好きなのは知っているから、迷惑なら忘れていいよ。でも、そうじゃなかったら考えてくれればいいなって思っている。無理強いはしないから」


 彼の言葉は宮野君と私がつきあっている前提の言葉だということが分かったのだ。


 それは私と宮野君の交わした約束。



 だから宮野君を理由に断っても構わないということだった。


「私は」


 だが、そこで言葉を噤む。


 宮野君と「つきあっている」とは言えなかった。


 だって、実際は付き合っていない。


 ののかちゃんの電話にあっさりと負けてしまう。


 それ彼にとって私という存在なのだ。
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